第53章 Twelve Fantasia Tour
お茶会の撮影が始まる。
「さて、場所を移動して庭園にいます!俺らも着替えてそれっぽいでしょ?」
「みんなも似合ってるね」
一織が七桜さんがいないようですがと当たりを見回すと、遅くなってごめんと言いながら、俺たちと同じく着物に着替えた七桜がやって来た。
「凄くお似合いです!」
「ありがとう。では、ここからみなさんと一緒にお茶会を楽しもうと思います。誰かやったことある人いる?」
「学生の時、学園祭でやったくらいですかね」
壮五が答えると七桜に指定された場所に座ってと誘導され、お茶菓子が目の前に出される。
「本当はお菓子を食べる順番もあるそうですが、今回は人数も多いので好きな時に食べていいと言われてます。ただ、きちんと道具は使ってくださいね」
「ちょっと待って!そこに座ってるってことは、七桜がお茶点てるってこと?」
「そうだよ。順番に点てるから少し待っててね」
七桜は手順通り器用にお茶を点てていく。
「確か、茶碗回すんだったよね?」
お茶が回ってきた龍が焦り出すと天がさりげなく手順を教えてあげている。
「左手に茶碗のせて、右手で時計回りに2回。飲み終わったら、その逆に回すといいんだよ」
「天くん、詳しいね」
「海外の学校で少し習っただけです」
「日本の文化、大変スバらしいですが、そろそろ足のカンカクが・・・」
ナギは慣れない正座に足の痺れが限界に...
それを見た千が、涼しい顔でナギの足に触れる。
「ワァーーオ!!」
ナギの大きな声が響く。千の餌食になって可哀想に...
「ナギ、大丈夫?お茶会は大きな声出したらダメだけど、今日は撮影だから大丈夫だよ。この人数だと静かにしろって言うのも難しいでしょ?特に、そこの高校生2人組」
「「俺!?」」
環と悠斗が同じ反応をする。
「みんなも足崩して大丈夫だよ。痺れてきたでしょ?」
みんなにお茶が回ったことを確認して、自分のお茶も点てる。
「抹茶って苦いイメージあったけど、こうして飲むと美味しいですね」
「お茶菓子もお茶が苦いから、甘さが引き立って美味しいです」
陸と龍ちゃんは初めて飲んだみたいで、気に入ったようだ。
「俺は七桜が点ててくれたから、それだけで美味しかった!ね、ユキ?」
家でもして欲しいと言われた。