第48章 百の声
みんなに、頼んでから後日。今日はTRIGGERと同じ収録だ。
そして、今日も百は歌うことはできなかった...
TRIGGERも心配な顔をして見ている。
椅子に座ってた百がいきなり立ち、スタジオから出て行こうとする。私と、千も一緒に行こうと立ち上がる。
「モモ、僕も一緒に行くよ」
「俺、1人で行くからいいよ」
「そんな状態でほっとけるわけないだろ」
「いいから・・・いいから、ほっといてくれよ!」
足早く出て行こうとする百の後をおうように出て行こうとする。
「七桜も着いてこないで・・・何でもできちゃう七桜には俺の気持ちわかんないよ!」
百はそう言って、走って行ってしまった。
「千さん、七桜さん、僕が着いていきますから。ここで待っててください」
天が百に付き添って行ってくれた。
「七桜さん・・・」
「大丈夫ですよ。本当に思ってることじゃないですって」
「そうだ。七桜、今の百の言葉は気にするな」
私は百に言われた言葉が耳から離れず、ただショックを受けて立ち尽くした。
俺は、楽屋に向かいながら後悔した。
不安で心に余裕がなくて、全部がぐちゃぐちゃだ。
ユキにも、七桜には特にヒドいこと言っちゃった...
流れてくる涙をぬぐって、楽屋に入る。
追いかけて着いてきた天と、何故か陸と一織も続けて楽屋に入ってくる。
「百さん、失礼ですが心当たりはないんですか?」
「ないよ・・・それに俺は元気だよ?Re:valeだって成功したし、2人と一緒にやって5周年だよ?こけら落としも大トリだし、俺が幸せじゃなかったら、誰が幸せだってくらい、超ウルトラハッピーキングダムだよ」
「なら、どうして千さんと七桜さんに着いてこないでって言ったんですか?」
「それは・・・」
「七桜さんにヒドいことも言って・・・あんなに仲良いのに」
「そうだよね・・・俺、凄いヒドいこと言った・・・2人とも心配してくれてるのに。ちゃんと後で謝るよ・・・だから、ちょっと1人にしてくれない?」
「百さん・・・」
きっと今、1人になっても何も変わりはしないだろう。
でも、少し冷静にならないと...きちんと七桜に謝りたいから。
「イヤです」
「ちょっと、七瀨さん!」
「陸、空気読もう」