第47章 異変
「Re:valeのこけら落としのポスターにスプレーで落書きされてるんだ!」
あぁ、そう言えばそんなのあったな。
「僕の歌を取り返せ・・・百のは関係ないと思う。とりあえず、自分のことちゃんとやりな!うちは、楽屋戻るから」
「うん。姉ちゃんも無理しないでね」
「ありがと」
そう言って、楽屋に急いで戻る。
「あー、あーあー。あー!あぁーーー!」
百が少しずつ声を大きくして出す。
「ね?聞こえたでしょ?声は出るんだ、大声だって出せる。なのに歌おうとすると、喉の奥が塞がったみたいになって、声が出ないんだ。なんでかな?」
「百・・・」
「大丈夫だ。病院に行けば治る」
「咽喉科に行けばいい?でも、話すときは声が出るんだよ」
「心療内科にも・・・」
「なんで?楽しいのに!何も悩んでなんかないよ!全部うまくいってるよ!ほら、変顔!あはは、ウケた?」
千も笑えない...
「念の為だ」
「ごめん・・・俺のせいで、迷惑掛けて」
「迷惑なんて思ってないよ?」
「モモ、大丈夫だ」
「俺、このまま歌えなかったら、どうしよう・・・」
「モモは大丈夫だよ。僕と七桜を信じて」
「そうだよ。今はこうなったらとか考えるのやめよう?大丈夫だよ」
「ユキ、七桜・・・2人ともイケメン・・・」
「知ってる」
「うちも?」
「うん。七桜も格好いい」
フッと笑いながら言う。
おかりんに相談して、病院に行くことになった。
帰る準備をして、私は百に付き添い一緒に病院に向かう。
咽喉科、心療内科にも行った。
検査は異常はなくて、心療内科はまた行くことになった。
俺は、1人になりたいと思いながら、1人になったら色々考えちゃうなと思って悩んでる...
「百、声が治るまでうちにいる?」
「えっ?」
「1人だと不安じゃない?でも、1人になりたいって思ったら余ってる部屋使っていいよ?」
「百くん、せっかくですし、そうしたらどうですか?引っ越しはまだできませんが、疑似同棲できますよ」
「疑似同棲・・・俺、七桜の家で一緒に暮らしてもいいの?」
「こういう時は、誰かが傍にいてくれたほうが心も安心しますよ」
「そうだよ。1人だと余計な事まで考えちゃって深みにハマるよね・・・」
「じゃあ、よろしくお願いします!」