第8章 新生活
あぁ、またやってるよ...最近多いなぁ...
楽屋の外にまで聞こえてくる怒鳴り声。
こう何回もあるといい加減やめようとも思うし、正直うんざりもする。
助っ人が千と揉めて辞めていくのは記憶であるからわかってはいたけど、想像より多いんだよな。
板挟みになってる万が可哀想...
でも、今回は千が言いたいこともわかる。
その人は自分から助っ人に入れてと言って入ったのに、入った途端に千を毛嫌いしていた。
後に助っ人に入った理由は、その人の好きな人が千のことが好きで、私と千の間に何もないか見張って報告するため。
呆れてしまうし、そんな理由で入るなよ...しかも態度も悪かったし。
巻き込まないでほしいけど、見に来てる人の中には同じように思ってる人もいるのかな...
百もそう思ったり...それはイヤだな...
あの人楽器の演奏は上手いんだよなぁ...
千が言う、音楽の質と人格の質は別物ってやつ。
「お疲れ。外まで声聞こえてるんだけど?毎回恥ずかしいんだよね。万もほっとけば?どうせ何言ったって辞めるんでしょ?」
溜め息をつきそう言う。
「七桜、あのな。わかるけど言い方あるだろ?」
「「わかるんだ」」
「お前らなぁ・・・」
「やってられっかっ!こんなバンド!!」
私たちの会話を聞いて更に怒り怒鳴って出て行ってしまった。
「あの人、今までよくもったよね」
「七桜もハッキリ言うようになったな。でも、あんまり相手を怒らせるのはよくないぞ」
「言いたいことはハッキリ言った方がいいでしょ?それに入った理由も理由だし」
「まぁ、それはそうだけど・・・七桜はどっちかというと大人しい子だと思ってたよ」
「そうかな?巻き込まれたくないから大人しくしてただけなんだけど・・・」
「見た目も大人しそうだよね。実際は違うから騙されたけど」
「騙されるって、千だけには言われたくないんだけど」
「でも七桜の性格、僕は嫌いじゃないよ。むしろ好きな方かな。それにギャップがあっていいんじゃない?」
千が言った言葉に、万と2人で驚いた。
「なに?そんな驚くようなこと言った?」
千は自覚がなく不思議そうな顔をして言った。
「はぁ、また助っ人募集かけないとな・・・」
次はちゃんとした人が入ってくれますようにと願うしかない。