第45章 デビュー
それからしばらくして楽屋で待ってる間、テレビから聞こえてきたのは、TRIGGERが歌う【NATSU☆しようぜ!】だった...
やっぱりダメだったんだ...ごめんね。守ってあげられなかった...
「七桜?大丈夫?」
「うん・・・」
「これって、本当にTRIGGERの作曲家の歌なの?僕の耳がおかしくなければIDOLiSH7の曲調に似てるっていうか、ほとんどそれじゃない?」
千も今は百だって曲作りしてるから、聞けばわかるんだ。
「七桜、そうなんでしょ?この前悠斗達が沖縄行ったって言ってたよね?」
悠斗から聞いた話をすることにした。
「実は、あの曲本当はIDOLiSH7のデビュー曲だった。事務所に空き巣が入ったって・・・それで・・・」
「TRIGGERが先に出しちゃったわけね・・・」
「悔しいね・・・追い詰められたとしても、人としてやっちゃいけないことってあるよね。でも、それを言うとTRIGGERが傷つくことになるから、七桜は言えないんだね」
うんとうなずく。
「このことは、小鳥遊事務所では解決してるの。叔父さんは公表はしないって言ってた。デビューは今まで歌ってた歌の中から決めるって。でも、天はきっと気付いてると思う。でも楽と龍ちゃんには言えないんだよ」
「本当、なんてことしてくれたんだ!」
「俺達もさ、誰にも言わないでおこう。あの子達が解決したって言ってるし、TRIGGERにも変にイヤな思いさせる必要もない。1番悔しい思いしてるのは、歌えなくなったあの子達なんだから・・・」
本当にそうだ。私が落ち込んだって返ってくるわけじゃない。百が言うように黙って見守るのが1番だ。
「百、ありがと・・・」
それから落ち着きを取り戻した。
そうして、収録を終えて事務所に戻り、アルバムの曲を作る。
「七桜さん、ドラマの主題歌のお仕事がきてるんですが」
「何でいつも曲作りとかぶらせてくんの!?ドラマってなに?」
ムスッとしてると、百に怒っても可愛いけど落ち着こうって言われる。
「大和くんが出演する恋愛ドラマだそうです」
「なんで?IDOLiSH7は?MEZZO"もいるじゃん!」
「監督が七桜さんのあの歌が好きらしくて、是非お願いしたいと・・・」
「ちょっと監督呼んでよ!話つけてやるよ」