第39章 新しい動き
後日、その日はやってきた。
「叔父さん、お待たせ」
「忙しいのにお願いしてごめんね」
「大丈夫!あれ?万は?」
「万里くんは最終選考の書類揃えてるよ。後で持って来てくれるから七桜ちゃんも見ておいて。それから、これはあの子たちが歌う楽譜ね」
(最終選考は8人・・・あれ?1人多くない?)
「へぇ、ゼロ歌う子いるんだね。まぁ、どれも弾けるから問題なし!」
「Re:valeのように演奏して歌うグループではないんだけど、歌唱力、表現力を見たいんだ。完成された曲だとしっかり聞けないからね」
さすが、社長と言うべきか...失礼だけど...
「それにしても、8人もいるんだね」
「あぁ、1人は悠斗くんなんだよ」
「えぇぇぇー!!??」
その時、失礼しますと万が入って来た。
「何騒いでるんだよ。外まで聞こえてたぞ」
「万!だって、悠斗がオーディション受けるって・・・」
「そうなんだよ。俺もビックリした」
そうなんだって...ビックリしてないで止めてくれたって...
万は別にいいじゃないかって言うけどさ...でも、それだと...
「先の事は言いたくないけど、もし8人、もしくは他の誰かが落ちると変わっちゃうじゃん」
「だから、変わってもいいんだよ。前にも言っただろ」
コソコソ話して、でもさ、でもじゃないと遮られてしまった...
「今は七桜がいるこの世界が本物だ。もし仮に七桜がいなかったとしても、悠斗はこの道選んだかもしれない。遥人さんの息子である以上、音楽の道を選ぶ選択肢もあるんだよ」
「はぁ・・・まぁ、受かるとも限らないか」
万はオーディションだからと軽く言うけど、誰かの代わりに入ったらどうしよう...お願いだからそれだけは止めて...
「七桜ちゃん、そろそろ行こうか」
万はオーディションには参加しないと言うから、叔父さんに頼んで審査に入れてもらう事にした。
万だって音楽やってたし、意見出す人は多い方がいいから。
紡とも合流して、みんなが待つレッスン室に移動する。
「なんか、こっちまで緊張してきた」
「七桜ちゃんはドーンと構えててくれないと。先輩だしね」
「そうだぞ。いつも通りやればいいんだよ」
叔父さんと万にそう言ってもらえて少し緊張も和らいだ。
ドーンと構えるか...