第35章 初全国ツアー
「いや、あの子のどっちかは七桜のファンだったよね?」
「Re:valeが2人揃ってて、女が1人だけいたら普通うちだって思うでしょ?」
「あぁ、そうか」
「でも、最近声かけられること増えたよね」
「そうね」
「うちはそうでもないけど?」
「七桜は変装バッチリだからじゃない?」
「変装か。次からは気を付けるよ」
話ながら歩いてたどり着いたのは、サッカースタジアム。
百が口を開けて会場を見上げている。
「びっくりしただろ?」
「した・・・」
「ずっと、モモにお礼がしたかったんだけど何がいいか悩んでさ。いつもテレビで応援してるの見てたから。はい、チケット。こっちは七桜ね」
千にチケットを渡される。
「3人で出掛けるってあんまりなかったから・・・色々大変だったし、やる事もたくさんあったしね。本当はもっと早く出掛けたかった・・・もっと3人でいろんな所に行きたかった。だから、これから時々でいいから一緒に出掛けない?」
「もちろんだよ!行こう!ね?七桜!」
「当たり前でしょ?何遠慮がちに時々とか言ってんの?そう言ったんだから家から出たくないとか言わないでよ?」
「言わないよ。でも、僕に遠慮して2人で出掛けないとかはしないでよ。ちゃんとデートして」
「ユキ・・・俺、ユキのこと大好きだよ!嬉しい!ありがとう!」
「さ、行こうか!」
飲み物を買って、中に入り席を探した。
「あ、ここじゃない?」
「モモ、あったよ」
うちが外側だと危ないって2人に言われ、挟まれて座る。
千、本当は百の隣に座りたかったんじゃないのかな...
百は楽しそうに応援してる。うちもスポーツ好きだから楽しい。
千はたぶん興味ないと思うけど、百が楽しそうにしてるから嬉しそう。
「よかったね。喜んでくれて」
「今度は七桜にもお礼するから」
「いいよ、うちは」
「僕がしたいから。モモもだけど、七桜がいてくれなかったら今の僕はいない。だから本当に感謝してるんだ。七桜にも、モモにもね」
「千・・・」
「僕にとって2人は大事な、大切な人だからね」
千が本当にそんな風に思ってるなんて、考えたこともなかった。
どうせ言ってるだけとか思ってたのは心の中で謝っておこう。
千もまともな人間になったな。