第34章 バレンタインデー
「じゃあ、俺ギター楽譜通り弾くからやってみて」
「・・・えぇ!?凛太郎ギターできんの!?」
うちがそう言ってビックリしてると、凛太郎はギターを手に取り手慣らしに軽く弾いてみてる。
「よし!いいぞ」
うちのピアノ前奏から入り、凛太郎が合わせて弾いてくる。
しかも、結構弾けててビックリして見ると本人は涼しい顔で弾いていた...岡崎 凛太郎...未だに謎の多い男だ...
しばらく凛太郎が一緒に付き合って弾いてくれて、少しイメージできたなと思ってると、百が仕事を終えて戻って来た。
「ごめん、お待たせ!」
百は凛太郎がいるとは思ってないから、一緒に演奏してるのを見て、目を何度もパチパチさせて同じくビックリしてる様子だった。
「凛太郎ってギターできたんだ。ビックリしたよ」
「まぁな。これから帰るのか?2人とも気付かれないように、気を付けて帰れよ!」
と言い残し、社長室に戻っていった...
何だったんだと不思議に思う、うちと百。
「じゃあ、帰ろっか」
帰る支度をして事務所を出た。
百が送ってくれるっていうから、それに甘えて送ってもらうことにした。
歩きながら、アレンジどうだったとか百の仕事がどうだったとか色々話ながら帰ってると、百が突然歩くのをやめて止まった。
「七桜・・・あのさ、ちょっと話したいんだけど・・・いい?」
「いいけど、どうしたの?」
「少し歩くけど、あそこの公園行かない?」
指差す方に、小高い丘に公園があった。
もう夜で暗いし、一応変装もしてるから気付かれはしないはず。
ベンチに2人で座る。
(めちゃくちゃ緊張する・・・)
「これ、俺からバレンタイン・・・遅くなってごめんね」
「可愛い・・・百、ありがとう」
俺が七桜に選んだのは生キャラメル。
包み紙も可愛い柄だし、入れ物の瓶も可愛いって思ったやつ。
「よかった、喜んでもらえて。あのさ、少し話あるんだけど聞いてくれる?」
「うん、どうしたの?」
いざ、告白するとなると緊張がハンパない...
心臓口から出そうだよ...
でも、するって決めたからちゃんとしないと。
「あのさ・・・俺ね、実はずっと・・・ずっと前から七桜のことす、好きなんだ・・・だから、俺と付き合ってください!」
そう言って、3本の赤いガーベラとかすみ草の花束を差し出す。