第34章 バレンタインデー
差し出した手から、花束がなくならないことに不安になり顔を上げて七桜を見る。
それに気付いて、ごめんと謝ってきた。
やっぱり、断られるのかな...
「ごめん・・・ありがとう。ちょっとビックリしちゃって・・・百に告白されるなんて思ってなかったから。うち、百は千と同じ好きなんだと思ってた・・・うちも、百のことずっと前から好きだったから。こちらこそ宜しくお願いします」
少し泣きながら、差し出した花束を受け取って笑ってくれた。
「はぁぁ・・・よかったぁ・・・受け取ってもらえて本当よかった。断られるかと思ったからハラハラしたよ。七桜も好きでいてくれたなんて思ってなかったから凄い嬉しい!七桜大好き!」
引き寄せてギュッと抱きしめた。
「百、苦しっ」
「ご、ごめん!嬉しくてつい」
少し力を弱めて抱きしめる。
「ふふ、暖かいね」
「うん、そうだね。やっぱり今の時期は外寒いね。でも、もう少しだけこうしててもいい?」
「うん。うちもまだ一緒にいたいし」
体を離し、顔を見て話す。
「俺もまだ一緒にいたい。七桜、好きだよ。大好き」
自然とお互いの顔が近づき、影が重なった。
気付いた時には七桜とキスしていた。
「ご、ごめん!無意識っていうか、いや、ごめんってことでもない?けど、告白したその日にって・・・」
悪いことじゃないかもしれないけど、自分のしたことにパニクる。
「百、ちょっと落ち着いて。それに、いやじゃなかったし・・・」
「そうだよね・・・へ?いやじゃない?」
「うん。だって、うちも百のこと好きだし・・・好きならしたいなって思うでしょ?」
「そうだけど、初めてはもっといい感じの場所でって思ってたんだけど、俺もしたかったみたい。さっきは無意識だったから、もう1回してもいい?」
「え?う、うん...」
七桜がいいって言ってくれたけど、改めてするって思うとめちゃくちゃ緊張する。
いざっ!と覚悟を決めてゆっくりと顔を近づけてキスをした。
唇の柔らかい感触を感じる。
(俺、今七桜とキスしてるんだ・・・)
めちゃくちゃ心臓がうるさい...バレちゃう、バレちゃうっ!
1度顔を離して、もう1度顔を近づけ今度は長めにキスをする。
七桜は俺の服を掴んで応えてくれた。