第33章 誕生日とゴシップ
「目が覚めるの待つしかないんじゃない」
「そうだね」
遥人さんは心配そうに七桜の頭を撫でてる。
父親だし、俺たちも心配なんだからもっと心配に決まってるよね。
「申し訳ないですが、千くんは仕事があります。百くんはまだ時間は大丈夫ですけど仕事ありますよ」
「「わかってる」」
「目覚ましたら連絡入れといれくれる?」
そう言っておかりんと一緒に仕事に向かった。
俺は残って遥人さんと話をした。
初めて聞いた...遥人さんがあのあけぼのテレビと並ぶ有名なテレビ局のそれも、そこそこ上の偉い人だと。
音楽関係の番組を主に扱ってるらしい。
その上、昔はバンドマン...どんな道進めばそこまでいけるんだ?
昔の仲間もいるんだろうけど、現役の人たちは今の仕事に就いてからの知り合いの方が多いんだろうな、年齢もさまざまだし...遥人さんの人の良さあってこそだな。
七桜に言われたことをふと思い出した...
Re:valeを守るためには人脈が必要だと大御所やプロデューサー、とにかく繋がることでなんとかなると思ってた。
繋がるのは誰でもいいわけじゃない。
俺を利用してくる人もいたけど、そういうのも勉強だと思ってた。
でも、ちゃんと味方になってくれる人かどうか見極めて付き合っていかないといけないんだ。
遥人さんの周りには、誰かのために動いてくれる人がたくさんいる。
俺もそうならなきゃいけなかったんだ...それが守るってことだよな。
遥人さんのそのまま思ったことを伝えた。
七桜に怒られたことも、これからそうなりたいことも。
「七桜に言われただけで、よくそこまで気付けたな」
「今回の事があって・・・遥人さんの話も聞いてそう思いました。そうなりたい、そうやって守っていきたいって。俺が作った繋がりは偽物の繋がりだったんだ。飲み会で無理矢理飲まされて、誰か紹介してって合コン頼まれて、この前お願い聞いたから次はこっちのも聞いてねってそんな関係なんです・・・」
遥人さんは何も言わず黙って話を聞いてくれる。
「七桜が怒るのも当たり前だ。七桜はいつも気付かせてくれる。何でもない言葉だったとしても、よく考えるとちゃんと出口に繋がってるんだ。七桜は本当に凄いよ。だから俺がしっかり守りたい。大事な人だから・・・」