第33章 誕生日とゴシップ
「モモはさ、七桜のこと・・・好きだよね?」
帰り道、千が突然聞いてきた。
「そりゃぁ、好きに決まってるじゃんかー!」
「そうじゃなくて、恋愛的な意味で。違う?」
「それはユキでしょ?」
「そうだね。僕は七桜が好きだ。モモは違うの?」
俺は...ユキのことを思うと続きが出てこなかった。
「沈黙は肯定ととるけど、それでいい?」
俺は突然どうしたの?とユキも七桜も2人とも好きだと答えると、誤魔化すなと怒られた。
「なら、僕が七桜と付き合ってもモモはいいんだね?僕がもらっても文句はないってことだよね?」
「・・・それは、俺が決めることじゃないよ。七桜が決めることだから・・・」
ユキにもらうって言われて、心臓がギュッとなった...
そんなの嫌だ、嫌に決まってる。
ユキのことはもちろん好きだけど、それでも七桜は渡したくないし、誰にも譲れないくらい好き。
(本当はそう言いたいけど・・・でも・・・)
「モモの気持ちがその程度だったなんてガッカリだよ。誰かに取られてもいいんだね。それなら、僕に取られても文句は言えないね」
その言葉に、カチンときた。
「その程度ってなんだよ!俺がどれだけ好きかなんて知らないくせに、勝手に決めつけんなよ!俺だって、俺だって好きだよ。俺だけ見てほしいし、誰にも取られたくない・・・」
俺のその言葉を聞いて、ユキはフッと笑った。
なに笑ってんだよ...
「やっと本音、言ってくれたね。モモは僕が七桜のこと好きだからって遠慮したたよね?自分の気持ち抑えてたでしょ。違う?僕は確かに七桜が好きだし、付き合いたいと思ってた。でも、七桜が好きなのは残念だけど僕じゃないんだ・・・」
ユキは少し悲しそうな微笑みを浮かべて話しを続けた。
「だから、僕に遠慮しなくていい。簡単には諦められないかもしれないけど、七桜を好きになって今まで僕は頑張った。でも、男としては見てもらえなかった・・・七桜には幸せになってほしい。その相手がモモなら、もっと嬉しいんだけどな」
ユキ...
「本当に諦めるの?俺に遠慮して譲るとかじゃないよね?それはイヤだよ!?」
「違うよ、そんなんじゃないから。七桜を見てればわかるよ」