第32章 再会
叔父さんは最近、小鳥遊事務所を立ち上げたばかり。
社員もまだ少なくて、所属タレントをいい環境で迎えるための準備をしている。
「悠斗くん今日は泊まってくだろう?」
「いいの?久しぶりに姉ちゃんのご飯食べたい!」
ちゃっかりしてるんだから...
「社長、失礼します」
聞いたことのある懐かしい声が聞こえた。
その方向を見ると、そこにはスーツを着た万が立っていた。
「万っ!?」
「万くんだ!」
悠斗は万に向かって走り出し、飛びついた...
私はここにいるのは知ってたはずなのに、実際会うとビックリしたし、本当にここで働いてるとわかって安心もした。
「万くん、今までどこにいたの?何で叔父さんのとこにいるの?」
悠斗は思ったことをズバズバと聞いていく...
(うちも聞きたいんだけどな・・・でも、本当良かった)
「叔父さん、ありがとう」
「もうバレちゃったか。悠斗くんも万里くんと仲が良いんだね」
「よく遊んでもらってたんだ」
「悠斗、千と百くんに会っても俺がここにいることは内緒だぞ?話すときは俺が自分で話すから。約束できるか?」
「わかった!姉ちゃん、万くん見つかって良かったね!」
「そうだね」
物わかりのいい弟で、姉思いの弟だなぁ...
紡が帰って来たから、悠斗は先に家に帰った。
「せっかくだから、万里くんとゆっくり話しておいで?」
「社長、でもまだ仕事が残ってますから」
「それは明日でもいいよ。久しぶりに会ったんだし、話したい事もあるだろ?」
叔父さんがそう言ってくれて、事務所の近くにあるカフェに入った。
「最近、よく雑誌でも見てるよ。新しいRe:valeの曲も聴いた。本当に新生Re:valeだな。始めは少し驚いたけど、さすがだよ。七桜がやろうって言ったのか?」
「違うよ。記憶なら千と百の2人のRe:valeだったんだけど、千が今のRe:valeの形でやろうって言ってくれたの。男女のアイドルなんて受け入れてもらえないかと思ってたけど・・・事務所は受け入れてくれた。ダメなら辞めてもいいって思ってたけど・・・」
「それは無理だろうな。最初に七桜に目を付けたのは千だぞ?そう簡単に手放すとは思えない。でも、よかったじゃないか」
「そうだね。てか、連絡遅くない?しかも、万からじゃなくて叔父さんからって・・・」