第32章 再会
「ごめんごめん。俺もしようと思ってたんだよ。でも、社長に声かけてもらって、七桜の叔父さんって聞いたから・・・事務所で働く前に会ったら色々説明しずらいと思って。俺が黙っててって頼んだからって言えば言い訳にもなるだろ」
「万が悪く言われない?」
「俺のことはいいんだよ。ごめんな、遅くなって」
「いいよ。元気そうでよかった。万にずっと会いたかったよ」
久しぶりに会って、久しぶりに話せてなんか泣けてきた...
「相変わらず泣き虫なんだな」
そう言って、久しぶりに頭を撫でた手は昔と全然変わっていなかった。
懐かしい、万の手...会えて本当に良かった。
「社長は俺がRe:valeやってたって知ってたんだな」
「知らないうちにライブ見に来てたからね」
「そうだったのか。社長には感謝してるよ。俺なんか拾ってくれたんだから」
なんかじゃない...万は叔父さんにいてくれなきゃ困るってくらいの事務員になるんだから。
「記憶の方はどうだ?」
「うん・・・実はそれで百と気まずかったんだよね・・・」
どうしたんだとあったことを詳しく話す。
「難しいな・・・あまり酷かったらまた話し合った方がいいんじゃないか?誰のためにもならないし、何かあってからじゃ遅いしな」
「うん。でも、百は・・・」
「百くんもいつか気付けると思うけどな。間違ったやり方だって」
そうだったらいいけど、月雲と親密になってしまってからじゃ遅いんだよな...
今はもう何言っても聞かないだろうし、万の言う通り様子見てまた話すしかないのかな。
「七桜は記憶でこの先のことがわかってるから心配なんだろうけど、これからは思い悩むなよ。気になるのはわかるけど、俺に話して適度に発散するか千と百くんとそれとなく話すとかな。間違っても俺の時みたいに、自分を犠牲にするのは止めろよ」
それはわからないけど、万がしつこいから頷いておいた。
それから、万がいなくなってからのことや最近の千や百、仕事のことを会えなかった分たくさん話した。
事務所に戻ると、叔父さんが万も一緒にご飯食べようと誘ってきた。
万は少し困ってたけど、断るにも断れず小鳥遊家に来ることに。
紡と一緒にご飯を作って、賑やかな食卓。
万の事は紡にも一応黙っててもらう約束をした。
将来Re:valeに会うことになるから。