第4章 勧誘
「前回はギターで今回はピアノとドラム。他にも楽器できたりするんですか?」
「あぁ、一通りできるよ。ギター、ピアノ、ドラムは小さい頃から遊びでやってたからな。ベースは最近できるようになったけど、まだ力が弱いからいい音出ないって苦戦してるよ」
「小さい頃からそんなに・・・凄いな・・・」
「家に楽器が揃ってたからな。5歳くらいにはある程度できるようにはなってたな。もちろん教えたり教室通わせたりもしたけど」
「そうなんですね」
自分から中学生になったら音楽やりたいと言ってきたそうだ。
路上で音楽始めたのはアレンジの勉強の為らしい。
リクエストを即興でアレンジして披露してるとか凄いな。
知り合いのバンドの助っ人に引っ張りだこなのも凄いし...
確かに高校生になればバンドも組めるしライブもできるな。
「そういえば、2人は何歳なんだ?」
「俺も千も高校生です。俺が高2で千が高1です」
「そうか。2人とも高校生か。少し離れてはいるけど七桜とも割と近いか」
「七桜ちゃんが一緒にやるって言ってくれたら嬉しいですけど、中学生って聞いたし女の子だし両親の許可は必要だなって千とも話してたんです」
「もしやるって言ったら許可してくれるの?」
「許可してくれますかだろ!」
「許可してくれますか?」
「別にいいよ。まぁ、でもこれから音楽やっていくなら人付き合いの練習はした方がいいな。この業界は色んな人がいる。目上や先輩への態度は改めるべきだ。あぁ、それから娘に何かしてみろ。楽器弾けないように指でも腕でもへし折るからな」
「何かなんてするわけないじゃないですか!」
笑顔だけど目が笑ってないのがなおさら怖い...
中から聞こえた物騒な言葉...
(へし折るって何を?どんな話すればそんなワード出てくるんだよ・・・)
手が塞がってるから、お父さんに声をかけて扉を開けてもらった。
「七桜ちゃん、ありがとう」
「ありがとう」
「い、いえ」
(この頃の千もお礼とかちゃんと言えるんだ。何か感動)
そう思って千を見ていると何?と軽く睨まれた。
もしかして、顔に出てたのかな...
「ねぇ、君は僕らと一緒に音楽やってみたいと思わない?」
一緒にやらないってやっぱりそういう意味だよね...
「ごめんね?突然言われても困るよね」