第4章 勧誘
万は呆れた顔半分、申し訳なさ半分って感じの顔を見せた。
「話は聞いたけどやるのは俺じゃないからな。本人説得しないと」
お父さんは私がいない間に話は聞いたみたいだった。
(説得って?何を言われたの?)
「僕は路上で音楽してる君を見て可能性を感じたんだ。ファンの子がバンド組んでライブもしてるって話をしてたから聞いてみたいと思ってここに来た。技術も歌も欲しいと思った。僕の曲を弾いて欲しいと思った。だから一緒に音楽やりたいんだ。嫌かな?」
嬉しいけど、そんなこと言われても...困るよ...
「えぇっと・・・」
「俺もね、千から話聞いて実際に演奏見て本当に凄いなって思ったんだ。正直、俺よりも弾きこなしてると思った。演奏聴いて千がメンバーに欲しがるのわかったよ。俺たち2人で曲作ってるんだ。そこに七桜ちゃんの音も入ったらもっといい物ができるって思ったんだよね」
(これは普通に嬉しいぞ・・・でも・・・)
一緒にやるのは魅力的ではあるけど、本来は関わってはいけない人達。
Re:valeと一緒にやってみたいけど...
これからを考えるとそれはやっぱり難しいって思う...
「そんないきなり言われても困るよね。少し考えてみてくれないかな?ご両親ともゆっくり話してさ。あと俺たちの曲も持って来たから、これも聞いて判断してもらえたら嬉しいな」
「ライブも1度見に来る?聞くだけと生で見るのじゃ違って聞こえるからね」
「そうですね・・・1度見に行かせてもらいます」
それから少し話をして2人は帰って行った。
「ま、焦らずゆっくり考えてみな。話した感じ悪い奴らじゃなかったし。今度ライブ見に行ってみるか」
「うん・・・」
ライブは見に行ってみたい。
でも、一緒にやるかは話は別だ。
これからこの世界でどうするのが正解なのか、自分はどうしたいのか...
一緒にバンドやろうって声かけてもらったんだもん、ちゃんと考えなきゃいけないよね。
でもこの記憶がある限り、自分のしたいようにするのはどうなんだろうって思う。
Re:valeと一緒にできるのは嬉しいよ。
でも...百のことを考えると...
自分の行動で未来を変えるなんてこと思ってはいないけど、実際Re:valeに入ったとしたら何か変わったりするんだろうか...
「はぁ・・・どうしたもんかなぁ・・・」