第31章 初ソロの活動
ずっと気遣いは面倒だと思っていた。
七桜に出会って、モモと出会って...僕は本当に変ったと思う。
モモに会ってからは人間らしくなったなとも思う。
それは、2人の笑顔に優しい気持ちが込められているのを知ってるからだ。
だから、僕も何か返そうと思えるし、返したいとも思える。
「本当、僕を変えてくれたのはモモだよ・・・」
モモはそれを聞いて笑ってくれた。
それを見て、やっぱり僕も嬉しくなった。
次の日、僕の続役が決定したと監督に言われた。
名前がなかった役にも名前が付いた。
志津雄さんとも少しゆっくり話ができた。
靴を買うより、一緒に住んでる相方に美味しい物を食べさせてあげたいと言ったら、今度食べ物をくれると言ってくれた。
買い物をして家に向かうと、部屋に電気が点いてるのが見えた。
モモが帰って来てる...また喜んでくれるかなとか考えたら、自然と涙が溢れてきた。
やっとモモの為に何かできる、あの笑顔に応える事ができる、そう思うと嬉しくて泣けてきた。
誰かが待っててくれるのはやっぱり嬉しい。
そう思って、玄関の扉を開けた。
それから、少し経ちモモにも仕事が入った。
七桜がモデルをしてる雑誌のメンズ版の方に出てほしいとオファーがきたらしい。
テレビでRe:valeを見て、うちの服が似合うと思ったとか。
少しずつだけど、Re:valeとしても個人としても仕事が増えていく。
モモに至っては、バラエティーの仕事もするようになった。
バラエティーはサッカーの司令塔に似てるから自分には向いてるかもしれないと嬉しそうに話していた。
七桜は他の雑誌からもオファーが入り、今じゃRe:valeの中で1番名前が知られてるだろう。
嬉しい事だけど、音楽メインで名前を覚えられるようになりたい。
今日は新曲の相談をするため、七桜が家に来てる。
アレンジは事務所で何通りか作ってきてくれた。
「へぇ、美味しそう。千もだいぶ料理出来るようになったね」
「そうでしょ?モモに美味しい物食べてほしいから」
「ユキ・・・」
今から夫婦漫才しないでよ?
「だから、僕の事褒めてくれない?」
「凄い、凄い。凄い美味しそう」
「棒読みじゃないか!」
「ちゃんと思ってるよ!頑張ってるって」
なんで褒めなきゃなんないのさとブツブツ言ってみる。