第31章 初ソロの活動
七桜の全てが可愛いって思うし、俺だけ見てほしい。
そんなの無理なのはわかってるけど...もっと触れたい、抱きしめたい、抱きたい、そんな感情が自分の中で大きくなってきてるのも事実で...
最近、そんな感情を持ってる事に自分でも驚いてる。
こんなに誰かを好きになったことなんて、今までなかった。
誰にも渡したくない...俺が守るんだ。
そんな頃、七桜個人に仕事が入った。
雑誌のモデルの仕事で、バイト先のブランドが衣装の契約を結んだらしく、店長の推薦で七桜に決まったそうだ。
「ユキ、凄いね!七桜モデルだって!」
「そうね。身長もある方だし似合うだろうね」
七桜はまだ慣れないけど、撮影は楽しいって話してた。
それから少し経つと、ユキにはドラマのエキストラの仕事が入った。
セリフも役名もないって言ってたけど、あの有名な俳優、千葉 志津雄さんが主演のドラマに出るなんて凄いよ。
2人とも凄いな...1人で仕事してるんだもん...俺だけまだ何もない。
焦っても仕方ないんだけど、俺はRe:valeとしての仕事以外はなにもなかった...
今日、ドラマの撮影があって少し良いことがあった。
撮影の出番が増えたこと、志津雄さんが僕の事を褒めてくれたおかげらしい。
それから、志津雄さんから新しい靴を買いなさいとお金もくれた。
初めてモモに何かしてあげられると思うと嬉しくて、美味しい物を食べてもらおうと、モモが家族で食べたトマトすき焼きを作ってあげることにした。
「ユキ、何かいいことあった?」
「・・・秘密」
別に言ってもいいんだけどね。
一緒にご飯を食べて、新しい曲の出来てるところをモモに聞かせた。
演奏が終わると、モモは泣いていた。
「何もできなくて、ごめんなさい。俺もちゃんとしたいのに・・・できなくてごめんなさい。ユキさんに申し訳なさそうな顔させて、悲しそうな顔させて、ごめんなさい・・・」
「モモ・・・」
体の奥がグッと切なく熱くなる。
自分の中にもこんな優しい熱があることを初めて知った。
「モモと一緒で嬉しいよ」
モモは我慢しきれず、声を出して泣き出した。
僕は七桜だけじゃなく、いつだってモモの笑顔に力をもらってるんだ。
「モモと一緒で楽しいよ。いつもありがとう。本当に、ありがとう」