第4章 勧誘
カウンターにいた人は翔さんと言って、ここのライブハウスのオーナーで彼女の父親と友達らしい。
その彼から彼女が中学生だからという理由を聞いた。
中学生であのレベルとか凄すぎないか...
「次出番だよ」
翔さんに言われてステージに目を向けると、この前を同じ彼女が違うメンバーとステージに立っていた。
「今日はギター弾かないのか」
音楽が鳴り響く中で自分の声が聞こえたかはわからないけど、万も同じ事を思ったはず。
ステージではドラムと電子ピアノを楽しそうに演奏してる彼女が凄く輝いて見えた。
ー
お父さんが一緒の時は最後まで残って見てもいいことになっている。
他のバンドを見るのは楽しいし勉強になるから好き。
いつも通り、演奏が終わって翔くんのところへジュースをもらいに行く。
「七桜ちゃん、お疲れさま!今日もいい演奏だったよ!はい、オレンジジュース」
「へへ、ありがとー」
いい演奏そう言われるのは嬉しいから自然と笑顔になれる。
翔くんと話してると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこには千と万が立っていた。
「君さ、僕たちと一緒に音楽やらない?」
「・・・えっ!?」
「突然変なこといってごめんね?今少し話すことできるかな?」
「えっと・・・」
千の突然の申し出に頭が真っ白になる。
(今、一緒に音楽やらないって言った?Re:valeには関わらないようにしようって思ってたのに何で話しかけられるわけ?)
どう対応しようか悩んでいると、お父さんがやって来た。
「七桜?・・・翔、何かあったのか?」
翔くんが何も話さない私の代りにお父さんに説明をしてくれている。
「うちの娘に話があるって?」
「初めまして。俺は大神 万里と言います。こっちは折笠 千斗です」
「遥人、冷静にな。七桜ちゃんと話させろよ?裏の休憩室使っていいからそこで話して来いよ。まだライブも途中だし、ちゃんと話もできないだろ?」
「あぁ、そうだな。少し借りる」
お父さんと一緒に千と万も裏の休憩室に向かった。
中に入って、2人と向かい合わせに座る。
お父さんがいるっていうのもあるけど、なんとも言えない緊張感が部屋に漂う。
どうしよう...
どうやって切り抜けようかな...
2人と関わることを避けることだけをずっと考えていた。