第26章 説得
万の事を思い出しながら陸に話しをする。
「離れるにはそうしなきゃいけない理由があると思うんだ。それは自分のためだったり、大事な人のためだったり、理由は人によって違うけど・・・後でちゃんと答え合わせできる時がくると思う。今は離れて辛いけど、我慢して受け入れないとね。そうじゃないと、天はずっと辛い思いしなきゃいけなくなる・・・陸は男の子だし強くなれるから、できるよね?」
「うん!頑張る。天にぃがあいつと行くのは許せないけど、天にぃのこと大好きだから嫌いになんてなれないもん・・・」
「そうだね。うちはずっと陸と天の味方だよ」
見ないうちに陸も大きくなったなと感心していた。
天のことは恨まないであげてほしいな...
「じゃ、そろそろ帰るね。また来るから、無理しないように」
「うん!来てくれてありがとう!お姉ちゃんも無理しないでね!」
笑顔を見せて病室を後にし、廊下を歩いていると名前を呼ばれた。
「天?あれ?今日、来ないばずじゃ・・・」
「陸が入院したこと連絡したって聞いたから来るんじゃないかと思って」
「陸から聞いたよ。九条と行くって決めちゃったんだね・・・絶対無理はしないこと!天は優しいからあいつのことほっとけなくなるんだろうけど、嫌になったらいつでも戻っておいで」
「七桜さん、九条さんの事知ってるんですか?」
「あぁ、うん。うちともう1人のメンバーが声かけられた。断ったけど。そのせいでもう1人のメンバーは行方不明よ・・・」
「そうだったんですね・・・その怪我が原因?」
「まぁ、天に言うことじゃないけど。あいつが少し汚い手を使ってね・・・人質みたいな感じになっちゃって・・・天も同じような理由でしょ?いつかちゃんと陸には理由話してあげな?天は陸が大好きだから、憎まれ役なんて辛いでしょ」
「七桜さんにはかなわないな・・・」
「九条のことは好きじゃないけど、天にとってはいい環境なのかもしれない。頑張っておいで、応援してるよ」
「ありがとう。これから海外に行くんだ。日本に戻ったら連絡するね」
「うん、頑張っておいで」
天と別れて家に帰る。
今日もレッスンがあるから、少し早いけどレッスン室に向かった。
天と話して万を思い出し、置いてあるピアノを見て少し弾きたいと思い軽く弾いてみようと【未完成な僕ら】を弾いてみた。