第13章 何気ない日常
『蜻蛉切ー、石切丸ー。お鍋をお願いー。』
蜻蛉切「かしこまりました。」
石切丸「今日のも美味しそうだね。」
広間に鍋やおひつを運び、そこで盛り付けて食べる。
大きい物は槍や大太刀に、食器類は…
小夜「おはよう、主。
茶碗を運んでおく。」
『おはよう、よろしくね。」
小夜「ん。」
短刀達が当番制で運んでくれる。
…短刀達の方がずっと、ちゃんとしてるな。
広間へ行くと、みんなが座って待っている。
配膳当番の短刀達が配り終え、
『では、いただきます。』
全員「いただきます!」
本丸に居る全員で食べるのが、決まりだ。
昼は自由だが、朝と夜だけはそう決めている。
朝食が終わると各々厨に食器を下げ、当番が片付け。
私は当初からの癖で、自分の物は自分で洗うが。
それが終わると、前日のうちに広間に貼り出しておいた当番表に従い行動開始。
三日月「主よ。」
『ん?』
今日、三日月は非番だったなぁ。
三日月「主の業務はどんな感じだ?」
『通常だよ。急ぎのもないし。』
三日月「ならば、昼は俺とでえとせぬか?」
…でえと、て。
一緒に出かけたいのか。
時々、誰かとランチに行ったりもするしね。
『わかった。』
三日月「では、昼になったら迎えに行く。」
『はーい。』
伽羅「…逢瀬、するのか?」
『お昼を一緒に食べるだけだって。』
伽羅「そうか。…後で珈琲を持っていく。」
『ありがとう、伽羅。』
今度伽羅をお昼に誘おう。
コーヒーの美味しいお店へ。
自分から誘うタイプじゃないもんね。
執務室で仕事を始めると、手の空いている男士が入れ替わりでやってくる。
邪魔をしなければ良い事にしているから、暇つぶしにちょうどいいらしい。
伽羅の淹れてくれたコーヒーを飲みながら端末に向かっていると、机の下から包丁が顔を出した。
包丁「あーるじ!」
『はいはい、どうぞ。』
包丁は私の膝の上に座り、お菓子を食べ始めるけれど私は手を止めない。
これも、短刀達のスキンシップ。
誰かしらこうして、仕事中にくっついてくる。
(大きめの子は隣に座るか、背中にくっついてる。)
包丁「主、あーん。」
『いいの?大事なお菓子。』
包丁「主の事は好きだから、いーぞ!」
『ありがとう、いただきます。』
あぁ…癒しだ。
お土産にお菓子を買ってきてあげよう。
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