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月の虜

第12章 君にしかー鶴丸国永ー(裏)


ー鶴丸国永ー

なんて間の悪い…

茶を持って来てくれた政府の職員が話して来たから相手をしていたら、迫られて…
押し退けようとした所に、が入って来た。

俺たちを見て、酷く傷付いた顔をしていた…

走り去るを追いかけようとしたら、

職員「いいじゃないですか、少し遅れて帰れば…。」

「悪いが、君じゃ勃たない。」

職員「えっ…。」

俺は、誰でも良いんじゃない。
じゃなきゃ、駄目なんだ。

大急ぎで本丸へ戻ると、玄関で長谷部が仁王立ちしていた。

長谷部「鶴丸国永…主に何をした!!」

「俺は何もしていない。誤解なんだ。」

長谷部「何もしていない訳がないだろ!泣いておられたぞ!!」

なんだって!?
の泣いたところなど、見た事ないぞ!?
すぐに、行かないと…!

燭台切「鶴さん、待って!
一度、風呂に入ってからの方がいい!」

「そんな悠長な事してる場合か?」

燭台切「いいからっ!」

「離せ、光坊!」

『…騒がしい。』

「主っ!!」

っ…
冷たい視線と…温度のない声。
これが、?

いつもの穏やかで温かな雰囲気が微塵もない。

つかつかと俺たちの方へ近づいて来たが、俺とは目を合わせない。

『長谷部、仕事を手伝ってもらえる?』

長谷部「はっ。」

「仕事なら、俺がっ!」

『…その前に、その香水の匂いを落としたら?』

「えっ?」

香水…?
あの職員の移り香か!?

『それと、近侍は長谷部に頼むから仕事の心配はいらない。』

そう言い残し、は行ってしまった。

燭台切「だから、言ったのに…。」

太鼓鐘「確かに、品のない香りだもんな…。」

伽羅「貞、こっちにこい。」

太鼓鐘「あ…。」

『…くそっ!』

玄関から外へ出て井戸に向かい、頭から水を被る。

俺たちは恋仲になってまだ日が浅い。
だが、俺は初めからを想っていた。
俺を選んでくれた時、どれ程嬉しかったか…
今回のは、に迷惑をかけないよう穏便に済ませたかっただけなのに…

「もっと俺を信じてくれても…いいんじゃないか?」

を泣かせたくなかった…
だけど、信じてもらえなかった事もショックだぜ?



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