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月の虜

第12章 君にしかー鶴丸国永ー(裏)


術を使い、転送装置まで瞬時に移動して本丸へと帰った。
あの場所から転送装置まで、かなり離れているからそう簡単には追いつかないだろう。

…ていうか、追いかけて来ないかもね。

長谷部「お帰りですか?主…主?泣いて……。」

玄関へと迎えにきてくれた長谷部が心配そうに顔を覗き込む。
こんな顔は見せたくない。
涙を拭い、顔を背ける。

『…なんでもない。
しばらく、人払いを。
天守には誰も来させないで。』

長谷部「…鶴丸はどうしたのですか?」

『…鶴丸は近侍から外す。』

長谷部「主!?どういう事ですか?主ー!!」

長谷部の呼びかけを無視し、天守にある私の部屋まで走った。

『ふっ…うぅ……。』

鶴丸…なんで……

もしかして、女なら誰でも良かった?
たまたま、女の私が審神者で…
近侍になれば他の女の子と出会う機会があると思って?

『あー、もう…。』

惚れた方の負けって、この事かぁ。
すっかり、盲目になっていた。
でも、私…本当に鶴丸の事が好きだったんだ…
他の人が鶴丸に触れているのが、こんなにも嫌だなんて。

ー君が俺の主か?よろしくな!ー

鶴丸の笑顔…

ー無理しすぎじゃないか?ー

心配してくれる優しさ…

ー何かあったら、俺を頼れー

頼りになる姿…

全部、全部、好きなのに…

ー主、好きだー

触れた温もりも…
触れられて与えられた熱も…
全てが大好きだった。

『っ…。』

思い出すなっ!
全部、私の想いが見せた幻だ。



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