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月の虜

第11章 貴女に着物を贈る意味ー石切丸ー(裏)


ー石切丸ー

山姥切「石切丸。」

「やぁ、山姥切さん。どうかしたかな?」

山姥切「お前は祭りの日、どうするんだ?」

珍しいな…
山姥切さんがこんな風に聞いてくるなんて。

「特に考えてないけど、にっかりさん達と行くかもしれないね。」

本当は主を誘いたいけれど、迷惑になったらいけない。
他の男士と行くのかもしれないし、祭りが好きかどうかも分からない。
いや、私の自信がないだけ…かな。
断られるのが怖いだなんてね。

山姥切「…主には、白い浴衣が似合いそうだな。」

「えっ?」

山姥切「そこに、撫子の花なんか描かれていたら…。」

「山姥切さん?」

山姥切「すまない、独り言だ。」

そう言って、山姥切さんは行ってしまった。
…そういう事、なのかな。
私は…期待をして良いのだろうか。

三日月「お主に必要なのは勇気、ではないか?」

「三日月さん、いつから…。」

山姥切さんの言葉を自分の都合よく解釈していた所を、三日月さんに声をかけられた。

三日月「いやなに、ちょっと散歩に行こうと思ったら話し声が聞こえてな。」

油断も隙もない。

三日月「早くせぬと、狐と鶴が主を誘うと言ってたぞ?」

「三日月さん…。」

三日月「どれ、俺はオヤツでも貰いに行くか。」

…散歩に行くんじゃなかった?

三日月さんの言う通りだね。
このままじゃ、誰かにとられてしまう。
行動に移さなければ、何も変わらない。
覚悟と勇気、だね。

三日月さんと別れた後、私は万屋へと赴いた。
確か…呉服はこちらの方だったはず。
今まで踏み入れたことのない場所に、緊張する。

店主「いらっしゃいませ。
…さんの所の石切丸様、ですね?」

「はい…主をご存知で?」

店主「贔屓にしてもらっております。
石切丸様からさんと同じ気配を感じましたので。」

…くすぐったいな。
私が主のものなのだと、そう言われたようで。
いや、事実そうなのだが。
誰かにそう言ってもらえるのが、こんなにも嬉しいなんて。

「では、ご主人。
我が主の背格好に合うよう、この生地で浴衣を作っていただけますかな?」

店主「かしこまりました。
その浴衣に合う帯や小物もご用意致しましょうか?」

「お願いします。」

明日には出来るというので頼み、店を後にした。
祭は三日後。
どのように誘おうか…。
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