第8章 艶酔ー三日月宗近ー (裏)
三日月「さて、こんなものかな。」
今剣「三日月さん、そろそろ時間ですよー。」
三日月「そうだな、戻るとするか。」
見習いの様子も気になる。
何事も無ければ良いのだが…
長谷部「戻ったか。」
三日月「長谷部…近侍はどうした?」
長谷部「見習い殿が今は仕事がないからいいと、主からの言伝を。」
…嫌な予感がする。
見習いを苦手としていたが、人払をする訳がない。
長谷部「おいっ、三日月!?」
長谷部を置いて、執務室へと急ぐ。
俺の思い過ごしであれば良いのだが…
カシャンッ!
どさっ!!
中から激しい音が。
執務室でのドアに手をかけたが、開かない。
鍵がかけられている…
三日月「ちっ。」
ドアから一歩下り、思い切り蹴り飛ばす。
長谷部「三日月!何をっ…主っ!!」
ドアを蹴破ると、見習いがを押し倒していた。
その姿に、血が一気に沸騰する。
真っ直ぐに2人の元へ行き、見習いの首を掴んで投げ飛ばした。
見習い「ぐっ!!」
三日月「長谷部、捉えておけ。」
長谷部「任せろ。」
『…私がやろうと思ったのに。』
の手を取り起こしてやると、甘い香りがしてきた。
…媚薬を飲まされたな。
茶器が落ちているから、茶に混ぜられたか。
三日月「なに、俺にも見せ場を与えてくれ。」
は薬に耐性があるとはいえ…
呼吸が乱れ、汗ばんでいる。
無理をしているな。
『こんのすけ。』
こんのすけ「お呼びですか…!どうなさいました!?」
三日月「この者が主に媚薬を盛ったようだ。」
長谷部「なんだと!?」
こんのすけ「なんですって?すぐにお役人を連れてきます!」
燭台切「なんの騒ぎだい?」
長谷部「見習いが主に媚薬を盛ったようだ。
薬研を呼んできてくれ。」
燭台切「…なんて事を。わかった、すぐに連れてくるよ。」
見習いが顔を青くしている。
当然だろう、俺と長谷部・燭台切の殺気を感じればな。
じきに、残りの男士の殺気も放たれる。
生きた心地がしないだろう。
…殺してやりたいくらいだがな。
『…少し、抑えなさい。』
殺気を感じたが苦笑いをして言った。
長谷部「ですがっ!」
『私が薬の耐性を持っているのは知ってるでしょ?』
薬研「だからって、平気とは限らないだろ?」
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