第6章 想い合えたならー膝丸ー (裏)
膝丸「どうした?主。
声が部屋の外まで響いて来たぞ?」
『膝丸…。』
そして何故…
このタイミングで、その想い人が来るのよ。
『ごめん、なんでもない。』
膝丸「これは?」
『あっ!』
膝丸が机の上に置かれた、先程こんのすけが持ってきた案件の詳細が記された書類を手にした。
膝丸「これが嫌で騒いでいたのか。
相変わらず、会合が嫌いなんだな。」
“仕方のない奴め”といった感じで、微笑んでくれた。
良かった、呆れてはいないようだ。
それに、書類には見合いの事は書いてないのが救いだな。
膝丸「近侍を同伴…ちょうど俺ではないか。
諦めて、一緒に行くぞ?主。」
『…はーい。』
いや、膝丸と一緒に行けるのは嬉しい。
ただの会合ならば、大人しく行っても良い。
が!
今回に限っては、拷問だ…
膝丸「主は実績がしっかりしているから、問題ないだろう?
なぜ、そんなに嫌がる?」
こんのすけ「それは、お見合いを兼ねているからですよ。」
どろん!と、何の前触れもなく現れたこんのすけが要らぬことを言いやがった!
膝丸「見合い?」
あー、もー。
こんのすけ「政府は審神者の私生活の充実も、ちゃんと考えているのです!
想い合っているお相手がいらっしゃるならば、文句はないのです。
主さまのように、面倒だからと言う理由は通りませんっ!」
『いや、本当に審神者を思っているなら強制しないでよ…。
そういうのは、個人の自由じゃないかぁ…。』
こんのすけ「膝丸さま、当日は主さまが逃げぬように監視をお願いしますよ!」
膝丸「……。」
こんのすけ「膝丸さま?」
膝丸「あ、あぁ。」
こんのすけ「では、失礼します。」
こんのすけ…
私が誤魔化さないよう、釘を刺しに来たな…
外堀から埋めようと言う魂胆か!
狐め…
今度、油揚げに唐辛子を詰めてやる。
『と、言うわけで。
当日は同伴、よろしくお願いします。』
膝丸「…なぁ、主。」
『ん?』
膝丸「想っている相手が居るのなら、行かなくても良いのだな?」
『らしいねぇ。』
膝丸「居ないのか?
その…想っているヤツは。」
はい、あなたです!
…なーんて、言えるかっ!
『だから、困ってるんじゃない。
…まぁ、適当にあしらって終わらせるよ。』
ホント、なんの拷問よ…
想ってる人に、こんな事を言うなんて。
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