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月の虜

第3章 繋がる気持ちー鶴丸国永ー (裏)


ーー

薬研「余程、大切な人へ贈るんだな。」

鶴丸「…あぁ。」

広間の前を通った時に、聞こえた会話。
最近、鶴丸が料理に励んでいるとは思っていたけれど…
そんな理由があったのか。

ズキンと、胸の奥が痛む。
だって、鶴丸が本当に愛しそうに言うから…
成功するといいね、と言った私の顔はちゃんと笑えていただろうか。

白く美しい、鶴丸。
一眼見た時から、私の心に住みついた。

私は…鶴丸の事が…好きなんだ。

私が鶴丸の悪戯に驚かないのは…
いつだって、貴方を見ていたから。
貴方の楽しい悪戯は、間違いなく本丸を癒してくれた。

『想いを告げることもなく、失恋かぁ。』

刀剣の幸せが、主の幸せ。

なら、私の幸せは誰が祈ってくれる?

…孤独なものだな、審神者は。
そもそも、歴史を守るのが仕事なんだ。
色恋にうつつを抜かしている場合じゃないか。
考えを改めないと。
初心に戻ろう。

私は…審神者。
歴史修正主義者から、歴史を守るのが務め。

『よしっ!』

仕事をするぞ!!
想いを消す為に、仕事に没頭した。

鶴丸「主、ちょっといいか?」

鶴丸…
今は、会いたくないな…

『ごめん、仕事に集中したいから。
後にしてくれる?』

鶴丸「…わかった。」

ごめん、鶴丸。
まだ、受け入れられないよ。

それから私は夕飯もとらず、執務室から出なかった。
時計は12時をまわり、本丸は静寂に包まれている。
もう、皆眠ったかな。
…私は、酒の力でも借りようか。
とても、シラフじゃ寝付けないや。

執務室を出ると、縁側に白い影が。

鶴丸「随分かかったんだな。」

『鶴丸…何してるの?』

鶴丸「主の仕事が終わるのを、待ってた。」

『ずっと?』

鶴丸「ずっと。」

『ここで?』

鶴丸「そう。」

なんで…?
訪ねてきてたのに、冷たくあしらってしまったのに。

それよりも。

『部屋に入って。
身体が冷え…。』

そこで、言葉が途切れた。
鶴丸に…抱き締められたから。

『鶴丸?どうしたの?具合悪くなった?
…身体が冷たい。早く入って!』

鶴丸「…なら、主が温めてくれ。」

『えっ!?ちょっ、鶴丸!!』

鶴丸に横抱きされ、執務室のソファーに降ろされた。
…というか、押し倒されたの方が合ってる。

鶴丸が上に乗ってる。



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