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月の虜

第16章 月食


雨「光栄です、頭。」

「いえいえ。」

雨「では、失礼します。」

そう言って私の後ろへ回ると髪を掬い上げた。

「五月雨?」

雨「なんです?」

「何をしているの?」

雨「何って…刀紋をつけるのです。」

“何当たり前のことを聞いているのだ?”と言いたげに返された。

「いや、どこにつけようとしてるのかな?」

雨「頸ですが?」

あー、そうですかー。
じゃ、なくて。
何故に頸なんだ!?

「Σ!!」

そんな事を疑問に思っていたら、頸が暖かくなり…

「っ…。」

ジュッ!と吸い付かれ。

「んんっ!」

仕上げと言わんばかりに、ぺろっと舐められた。

「五月雨!!」

雨「出来ました。」

「あ、はい…。」

あまりにも平然としているから、おかしいのは自分の方かと思ってしまう。
いや、彼らにとっては普通のことなのか。
相手は神様だもんな…

ー頭に忠誠をー



「五月雨江!おいで!!」

そう叫ぶと、カッと首筋が熱くなり背後から桜の花びらが舞ってくる。

雨「五月雨江、参りました。」

五月雨の声と同時に、背中の方からギュッと抱きしめられ、同時に目の前の妖が消え去った。

雨「ぐるるるる…。」

耳元で五月雨の唸り声が聞こえる。
これは、かなりお怒りの様子。

「よしよし。」

雨「くぅん…。」

ワシワシと頭を撫でてあげたら、落ち着いた。

雨「頭、少しお待ちくださいね。残りも片付けて来ますから。」

と、五月雨は自分のマフラーを外して私を大切に包んでくれた。

「五月雨…。」

雨「私にお任せを。」

「うん。」

優しく微笑んだかと思ったら、すぐ殺気を放って妖へと飛びかかっていった。
そこからはあっという間の出来事で。
今まで見たことのないような、怖い顔で倒していった。



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