第16章 月食
松井「わかった。では、失礼するよ。」
私は松井を選んだ。
了承してくれた松井は跪いて私の手をとり、口づけた。
御伽話の王子様よろしくで。
…私、鼻血出てないよね?
「ん?」
松井が口づけてくれた場所が熱い。
松井「うん、出来たね。」
ちゅっ、とリップ音を鳴らして松井の唇がはなれると手の甲に彼の刀紋が浮かび上がっていた。
うわ…
なんか、“松井の女です”ってアピールしているみたいだ。
松井「この上に主の霊力を乗せるんだ。そして、困った事になったら呼んでくれ。」
「わかった。ありがとう、松井。」
松井「どういたしまして。」
ー僕だけを頼って欲しいー
「松井江!来て!!」
カッ!!
彼に付けてもらった刀紋が光を放ち、大量の桜吹雪の中から松井が現れた。
松井「お待たせ。」
ザシュ!!
敵の大太刀を一太刀で切り捨てた。
松井「怪我はないようだね。だが、ボロボロだ。…楽に死ねると思うなよ。」
ゾワッ…
松井から静かな殺気が放たれた。
と、思ったら舞うように敵を斬りつけ、あっという間に殲滅してしまった。
松井って…こういう子だった?
もっと冷静で、スマートなタイプだと思っていたのに。
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