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月の虜

第16章 月食


「んっ…。」

眩しい…
ここは、本丸の自室だ。
帰ってきたの?

「任務っ!」

こんのすけ「気がつかれましたか!」

「こんのすけ、任務は!?」

こんのすけ「大丈夫です、成功しました。お疲れ様でした、主さま。」

「…良かった。」

豊前「おっ!気が付いたか!、」

豊前…
なんか…目を合わせずらい。
たぶん、自覚してしまったから。
私が豊前を好きだと。

「いっ!」

首筋が熱く、火花が爆ぜたように痛んだ。
もしかして、斬られた?

豊前「/////。」

えっ?
なんで、豊前が真っ赤になってんの?

こんのすけ「あー、そう言う事ですか。」

豊前「そーいうこと。」

いや、ちょっと。
審神者にも解るように話して?

こんのすけ「これ以上は、無粋というもの。本人同士にお任せいたします。」

それでは、とこんのすけは消えてしまった。
なによ、お見合いの席でお決まりのセリフみたいに。
(あとは、若いもの同士で。ってヤツね)

「どゆこと?豊前。」

豊前「あー、こういう事。」

ふっと影がさしたかと思ったら、豊前の御尊顔が目の前にあって、唇が温かい…!?
キスされた!?
て、いうか!
目を閉じろー!!(私もな!!)

「んんっ…!!」

おまけに、舌まで絡めやがって!

すっかり閉じることを忘れた瞳は、熱が燻り少し意地悪く弧を描いている。

「ぷはっ!ちょっと、豊前!いきなりなにすんだ!!」

豊前「わかんねー?」

「わかんないっ!」

ていうか、日本語通じてないの!?

豊前「主、俺のこと好きだろ?」

「ぶっ!!!」

な、なにをおっしゃった!?

豊前「ここ、俺と繋がってんだよ。」

ツン、と首筋を指で撫でる。
ここ?

…あ。

「刀紋、つけた所?」

豊前「そ。繋がってっから、召喚できた。んで、主の気持ちも繋がってんだよ。」

あーーー。
そう言うことですかー。
なら、口でなんと言っても無駄じゃない。
完全白旗。

「はい、私は豊前江の事が好きです。大好きです。」

豊前「潔いな。そう言うところも、好きちゃ。」

…破壊力!
審神者、もうライフはゼロよ。

豊前「主、俺のもんになって?」



ー豊前江・終ー
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