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極楽浄土【鬼滅の刃】

第7章 花喰み


  
獰猛な視線は焼き殺すかのように情欲に刺さり
小鹿のように動きがとれなくなる。

自ら服を取り払えば、そのまま腫れ上がった欲望をよだれを垂らすように欲しがる下の口に容赦なく突き立てた。

「ああぁっ!」

情欲をまとう笑みが余裕のないわたしを見下ろして、荒い呼吸を隠さず…
色香が強くなった表情にぞくぞくするのが止められない。

深く抱きしめられて、胸の痛みと風穴が熱く塞がれるような気がした。

息が出来ない。

想いと感傷が物理と同時に胸を締め付けるの。

「童磨…どう…ま…っ…!」

「…っ!」

一瞬の息遣いの間に、離れた体、重なる視線が獰猛な虹色が心臓を射る。

「あうっ!」

脳天を貫くような衝動。

逃がせないもどかしさが快感に化けて心臓を壊すように痛い。

「ぅぅっ…!あぁぁぁっ…!」

思わず目を閉じた瞬間
頬に水分がはじけ散る感触がした。
涙だとわかったのは、一瞬遅れてから。

笑顔のままなのに、虹色は赤く滲んで
いつもの様子じゃない童磨の様子に息をのんだ。

思わず手がその頬に伸ばす。

「君が悪いんだよ…。
こんなにも苦しくて愛おしいのに
俺の体に吸収するのは凄く嫌なんだ。

だけど…、泳がしておくこともできないし
縛りつけて俺の近くに置いておくこともできない…」

幾度となく頬に散る涙がトゲに刺されるように痛い。

わたしのせいだ…。

”ごめんなさい”

律動とともにズキズキと疼く胸の奥の傷が言わせない。
いつも笑みを浮かべる口角が震えてる。

「こんな気持ちは初めてなんだよ。
君が、君だけが俺をめちゃくちゃにして…!
うぅっ…!あっ…!」

感情のまま、ぶつけるように激しくなる行為に気持ちが追い付かない。

涙が止まらない。

全身が熱くて苦しくてもどかしたくて…
童磨の頸を引き寄せて頬を寄せた。

「ごめんなさい…。わたしだって…
だけど、わたしは、わたしを辞めたら、きっと…
童磨さんの特別じゃなくなる…」

滾った唇が呼吸を奪って、だらしなく唾液が溢れ流れる。
無我夢中で求めて、犬歯が当たり口角が切れて血が流れる。

ドクンと脈打つ童磨の心臓に共鳴した瞬間、目の前の彼が獣だと悟る。


どうにもならないのなら
いっそ流されてもいい。


でも、童磨はそうしてくれないって解ってる。

苦しい…。

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