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極楽浄土【鬼滅の刃/童磨】

第7章 花喰み



目の色を変えて、傷口からわたしの血を吸う。

痛みも吸われる感覚も全部
怖いという思いなんてない

一度正気に戻ってわたしを見たとき


「好きにして」

期待通りに生きるから…。


もう一筋涙。

『感情がない』というあなたから

唯一わたしだけが見れる特別な

『感情を伴う暖かい涙』



欲を

感情を

全部ぶつけられるの

こんなに残酷で幸せなことだって知らなかった。


精一杯抱き締めて

激しい律動に喘いで



「あぁぁぁぁっ!!」
「うぅっ!!」







吐精された中が熱い

爪の痕がチリチリと痛い。

身体に咲く赤は涙を流すように重力に沿って落ちていく。

決して深くはないけれど、
感じる痛みは快楽と溶け合い
胸の奥に大きく開いた底無し沼を誤魔化して

全身がただ燃えるように熱かった。


「アハハ…。いっぱい傷、つくっちゃったね」


身体中の花を啄むように ちうちうと吸う。

また気をやりそうだった。


心はここに置いていこう

サナギからただの見世物の蝶になっても

わたしの全てを童磨さんが見て知って覚えてくれたらいい。



そう決意した刹那

肩に当たっていた犬歯が深く肌を破って声なき声をあげた。



それでも、殺す気を感じない。

血を吸い上げる音が鼓膜に響く。



再び押し込まれた愛欲の塊に射ち震え

何度も何度も激しく求められては名前を呼ばれて

いつの間にか意識を飛ばしていた。






















気付いたときは、月の光が差すわたしの部屋。

そういえば、住んでいるところを知っていたんだと思い出す。




ただ、あのときと同じ月夜

ズキズキと痛む重い身体は起こせそうもない。












涙はもう流さない。
全部あげて置いてきたから



ただ、神の巫女として
『見世物の蝶』になりて舞えばいい。



あの人鬼の望む
『信念を貫くこと』から逃げたりしない。



身体につけられた痛みは煩悩を捨ててきた証拠だと
自分自身に言い聞かせる。







一人の夜は体感温度よりも物悲しく澄んで
この世に自分しか存在しないかのようだった。


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