第7章 花喰み
「お願い…壊して…」
懇願すれば、虹色の奥が劣情に燃えて
貪る唇が求める手が強くなる。
もっと何も考えられないくらいに奪ってほしい
「あぁ…じれったいな…。食べてしまえばずっと一緒なのに、菖蒲ちゃんには、どう足掻いても出来そうにないよ…」
「…ぁ」
聞いたことない苦しい声に、その首に回した腕の力を強めた。
涙を拾うように口づけて、耳元に寄せた唇かがすめる。
「ねぇ、ホントに全部奪っていいかな?
俺を全部…菖蒲に刻みつけたい…」
吐息混じりの囁きは、全身を甘いしびれを伴って巡り、腰を浮かせる。
もうなにも考えられなくして欲しい。
「おねがい… おねがい…」
恍惚と笑みを浮かべた。
舌を立てて、ツーっと喉から正中線を降りて、胸の頂にたどり着くと、じゅるじゅる音を立てて舌で弄ぶ。
「ああぁぁっ!」
急な刺激に、腰が跳ねて頭が真っ白になる。
「あぁ…。可愛いね…。たったこれだけで果てちゃった?」
おどけた反応は変わらないのに、いつもより優しい声色はどこか切なげで、胸が苦しくなる。
だめ…。
もっと溺れて、溺れて、戯れる獣のようになってしまいたい。
そのまま舌で蕾をなぶられて、もう片方の乳を深く揉まれる。
ぴりぴり、ずくずく疼いて思わずその頭を抱いた。
「はぁ…ぁっ、あぁっ!」
「菖蒲…」
湿った熱が口の中へ戻されて、薄く開けられた目蓋の奥の鮮やかな色彩から見つめられる。
「んん…んふっ、んん」
左の裾をたくしあげられて、太股の内側を指が撫でて上っていく。
容赦なく暴いていく様
哀しみで制御できない感情は
そのまま情欲の燃料のように燃やして
もっと触れて
もっと触れてほしくて
もっと深いところで繋がりたくさせる。
無意識に流れ続ける涙
どうしようもないなって哀しく笑うのは
胸が締め付けられて
体も同じように反応する。
何度も何度もわたしの名前を呼んで
深く侵食する指がわたしの中で暴れまわる。
首に回した腕、あなたを開けにくい瞼の隙間から見つめて
心のこの瞬間を焼き付けておきたかった。
心臓が感情を具現化して感じ知るものなら、
表情や声となって駄々漏れてしまっている。
もうそれすら、共鳴して昇らせてくる
堪らなく欲しくて求めた。