第1章 神宮祭りの舞姫
帰り道、正月の屋台で人はごった返してなかなか進まなかった。
最近、また鬼の被害と思しき噂話が耳に入った。
そして、実際この近くに、そういった類のものが食ったであろう人間の死体が惨い有様で発見された。
人間の皮をかぶった猛獣。
元人間だったものが何者かに鬼にされ、人を食いつくす。
獅子と兎なら、自然の道理だというのに何を騒いでるんだと思う。
恨むなら、その”鬼に変える何か”ではなかろうかといつも思っていた。
変えられた人たちは人間しか食べれない。
だが肉は普通の人間が他の家畜の肉を食べても少し興奮すると言われてるから、
それしか食べれないものは血の気が多いものが多いんだろうと思ってる。
そして、無意味な殺戮を繰り返す。
なんとも惨めで滑稽な話だ。
そんなことを考えながら行きかう人の噂話を聞いていた。