第1章 神宮祭りの舞姫
「興味を持っていただけると思っておりました。何でも毎年、大國屋敷神宮での年末年始の夜に行われる祭りの舞巫女に6回も選ばれ、今年も彼女が舞台に立つそうです。」
「そうなんだ。教えてくれてありがとう。夜なら俺も行ってみるよ。」
それが事の始まりだった。
そして実際今、童磨の目の前で人の領域を越えた神々しい舞を
その舞を舞うにふさわしい容姿で踊る女から目が離せないでいた。
夜にもかかわらず華やいで、表情、女性らしい繊細で艶やかな動き、頭のてっぺんから靴の先まで、ましてや着ている衣装の動きまでが自然体で流れるよう。
無意識に心臓に脈打ち温度を与えていく感覚。
そして時を忘れるほどに酔った。
気づいたときは
心が
感情が
昂っていた。
「おいおい、舞を見ただけなのに………これって…、
感動?
っていうの?」
人間だった頃も、鬼になってからも
人の感情が解らないと
理解できないと止まっていた心と感情が一気に沸き上がる。
「わぁ、凄い!こんな感じなんだぁ!」
そう喜ぶ男の虹色の瞳にはうっすら涙さえもたまっていた。
夜の闇は深まり、除夜の鐘が鳴り響く。
ゆっくり1年が去り新たな一年が幕を明けていく