第2章 虹色
「お仕事中恐れ入ります。先ほどの事があって帰るにも心細かったので助かります。」
と霧滝様が教祖様に頭をお下げになると、教祖様は、
「俺が声をかけたんだから、最後まで責任持つよ」
と、霧滝様の頭を優しく愛おしそうに撫でていらっしゃいました。
私といたしましては本当に微笑ましい限りでございます。
信者が申すのもなんですが、教祖様もお顔立ちや背格好が整っていらっしゃいます。
美男美女。
見ているだけで眼福なのです。
まだまだ、霧滝様はお仕事として請け負っていらっしゃるようですが、いづれはと願っております。
そう考えておりますと、いつの間にか霧滝様が私のところにいらっしゃって
「松乃様、先ほどは助け舟有難うございました。」
と、上目遣いで仰るのです。
とても愛らしい。
松乃も幸せにございます。
「いいえ。また明後日、お待ちいたしております。
帰りはお気をつけてお帰り下さいませ。」
私は精いっぱいの笑顔でお見送りさせていただきました。
お二人は、連れ立って寺院を出ていかれました。
お姿が見えなくなるまで、その姿を見送らせていただきました。