第14章 花爛漫
「一緒に…」
______奈落に堕ちてもいい
____ただ、痛みだけは、愛の記憶がもたらす麻酔薬で和らげて欲しい。
だから
「刻んでよ…もっともっと…もっと…」
切実さを孕んだ、甘く囁かれる声
考えてることはきっと『同じ』?
見開いた目からは涙が溢れる。
だけど暖かいの。
「愛してるなら、もっと、わたしに感じさせて?」
「いくらでも…」
溢れる涙を宝石のかけらを拾うように口づけて
深い蜜夜へ
桜が吹雪いて戸をさらさらと叩く音
手繰り寄せ合う互いの熱
感じ合う体温と存在
この身が朽ちても
その身が朽ちるまで
地獄の入り口ではなく、ずっと傍で
一緒に無間地獄に堕ちる日を迎えたい。
「童磨さん…」
「ん…?」
「愛しています…」
「あぁ…。それも、一緒だね……」