第14章 花爛漫
もどかしさが切なさに変わり
「もっと愛したい」という衝動に突き動かされる。
吸血の痕に血が静かに溢れ滴る
______命というものは脆く美しい
しかし、それは菖蒲に対してのみ感じるモノ。
「愛して…もっと…」
甘美たる声が吐露する甘言に
胸の中に熱い血潮が押し寄せるのを感じ
目を見開いた
「欲しがりさんだね…。もっと啼いてごらん?」
菖蒲は、わが身を支える事よりも、その強靭で美しい躰に縋った。
持てる力を振り絞って。
「熱いね…。体の芯が…滾るようだ…」
律動を強めれば、喘ぐ甘い声もより糖度を増し
躰を火照らせる。
「あ”っ…!あ”あっ…!」
胸にせり上がる、熱い愛のどろどろを吐くように
大きく息を絞り吐き、その細い躰を強く抱きしめた。
「ああああっ!!」
せり上がった快楽が爆ぜてくたりとしな垂れる菖蒲の体を抱きとめる。
「まだまだ…足りないよ?もっともっと啼いてごらん」
躰を反転させられ、壁に押し付けられた前方と、
肩口に顔を埋めるようにした童磨によって
更に身動きが封じられ、後ろから女陰に突き立てられる。
「ああああっ…!それ…、ダメ…」
「ダメじゃないだろう?もっと声を聞かせて…」
狂熱に戸惑い抗うのを許されず
執拗に責立てられて蕩乱に酔う
制御が利かなくなった口元から
涎がだらしなく流れるのを止める術もない。
腹に縛り絡まる腕に血液が垂れた線
真っ赤な糸のようにその腕も絡まれているよう。
血濡れた口元、わたしのモノ
押し付けられた唇の奥は鉄の味がした。
ゾクゾクと湧き上がる狂悦に
全身の感覚が鋭利に逆立つのを自覚する。
「死んじゃぅ…ダメ…もう、許して…!」
「もう少しだろう?今度は一緒に…」
背後から抱きしめる腕
その指先は執拗に
乳房の突起と
女核を攻め立てて
唇は耳たぶを責め
快楽を極淫に誘う
「あっ…ああああっ…!」
責め立てる律動も
律動を与える滾る楔も
肉がぶつかる音も
何もかもが愛極の果ての白みに誘い
ついに愛獄の極致に果てた
「ああああっ…!!!」
「……っく…うっ……」
胎内で爆ぜた精の熱
抱きしめられたままの愛熱
荒れた呼吸に感じた暖かさ
浸れば浸るほどに溺れて涙となり
一筋の線を残して流れていく