第14章 花爛漫
「ん......ん......」
不自由な呼吸も、触れられる感覚と快楽の強さを助長して
ただ夢中にその熱情に溺れさせるもの。
口づけは下に一つずつ落とされて
心臓へたどり着けば匂いを味わうように顔を押し付けてくる。
頭頂の赤と黒い模様
撫でて頬ずりをすれば、背に回った腕が絡みつく。
「菖蒲のここ、凄くいい匂いがする…」
「もっと、菖蒲の匂いに溺れたいなぁ…」
普段を滲ませた感嘆の声
思っていた以上に自分に溺れていた童磨を
菖蒲は今まで以上に愛おしく思った。
「溺れて。もっと…もっと…一緒に…」
ふと、視線が重なり、童磨は恍惚とした笑みを浮かべた。
「後にも、先にも、菖蒲だけだ…」
_________こんなに溺れてしまうのは…
そんな心の声に打ち震える。
体中に、その想いぶつけられる様に
愛、愛でるように口づけを落され
指先で体の熱が引き出されて
風に抱かれた花のようにしな垂れる
膝立ちのまま、背は支えられ、
乳房の先は飴玉のようにしゃぶられる度に
甘い刺激が下腹と神経に甘い疼きをもたらした。
太腿に蜜がしたたるのを感じて
羞恥に体がこわばると
大きな手は内腿を這いあがって
「もう、垂れてきちゃった?だらしないね…
待てなかったのかい…?」
「言わないで…」
「どうしてほしい…?」
刺激を与えることを辞めて、
肌に息が触れる距離で話すから
焦らされて
焦らされて
何もないのが寂しい…
「おねだりして…わからないよ?」
厭らしく悪戯に
美艶に笑みを浮かべて
腰は恥ずかしいのに勝手に揺れて
それさえ恥ずかしいのに寂しい
「ここ、ぐちゃぐちゃにして…」
「菖蒲は可愛いね…」
ぐちゅりと卑猥な音を立てる己の体に羞恥心が沸く
それ以上に待ち望んだ快楽が鮮烈すぎて
カラダが無意識にのけ反って甘い声が漏れた
「こんなに俺の覚えて…
ねぇ、菖蒲も…もう、溺れてるんだろう?」
「解ってるでしょ?」
満足気に口角を上げる
欲情がギラりと瞳の奥で滾る
その唇が求めるように口づけた。
奥で好くする指の動きが強くなり
抑えられない声は甘さを増す
「言って?菖蒲は、今、誰のモノなんだい?」
「童磨さん…の、モノです」