第2章 虹色
「で、次は菖蒲ちゃんの番。
俺の提案に乗ってくれたら、今から寺院へ案内するよ。といっても、少しここから見えてるけどね。」
「助けていただいたので、あなたの事は多言しないことをお約束します。
そして、舞の事ですが、流派の長に届けを出さなければなりませんし、いろいろ複雑なので、個人的になら………。
と言いましてもその場合どこで踊れば良いのでしょう?」
「わぁ、本当にいいんだ!嬉しいなぁ!
信者たちがいなければ問題ないんでしょ?
それに女の子だから、密室は嫌でしょ?
寺院の祭壇でいいかな?それとも夜景を背景に舞うのもいいのかもね。
あ、それじゃ、夜限定だからお仕事の邪魔になっちゃうかぁ。」
「あ、あのぉ………」
「あ、俺失念。
こんな屑の目の前では嫌だね。
俺の寺院においで。そこで話をしよう。俺以外人間だし、今の時間も女性の信者いるから安心してついておいで。」
状況と、目の前の鬼の言動に戸惑って思考が追い付いて冷静になってくると、
何でだろう
言葉を聞いてるのに
言葉の裏に心がないような気がするのに
マシンガントークがそれを感じさせる暇を与えないんだ。
でもなんでだろう。
この鬼はわたしが誰かと気づいたとき、
そして、わたしが提案をのんだ時
フワッと甘酸っぱい匂いをこの鬼から感じた。
結論、この鬼はわたしに害を与えるつもりはないどころか、どこかしら好意をもって傷つけない意思を抱いてる。
仕事くらいなら引き受けて大丈夫だろうとその時思った。