第2章 虹色
あれから数日。
何事もなく慌ただしい日程をこなし、色々な場所でのお仕事をさせていただいた。
そして今日の座敷でのお仕事のおわり、女将から呼び出され
「菖蒲ちゃん、いつもありがとうね。
悪いんだけど、うちの新人がね、菖蒲ちゃんのお部屋確保しとくの忘れっちまってたんだよ。
本当に申し訳ないねぇ。せめて、宿賃こっちがだして近くの宿手配したから、今日はそこ行ってくれないかい?」
「わざわざ有難うございます。
またご指名ください!!それとあまり新人さんを責めないで上げてくださいね?」
「菖蒲ちゃんが言うならそうするよ。
今度甘味用意しておくね。
いつもありがとう。」
そういって部屋を出ていった。
今月はやたらとその場所で止まれない仕事が続くなぁと呑気に考えながら、地図に書かれた場所へ向かうことにした。
不気味な赤い満月に背筋がゾクリとする。
「何にもなければいいけど、なんだか怖いなぁ.....。」
そうつぶやきながら、今日の依頼先を後にした。
しばらく歩いていると、予感的中といったところか、後ろから誰かが付けてくる気がした。
この前と同様。
後ろを振り向いても誰もいない。
ここは街灯がない。そして今日に限って、月明かりはいつもより暗く感じて、影をよくは映してくれない。
次第に怖くなってきて、速足で歩き始める。
するとそれに合わせるように気配の進みも早くなる。
(誰か!!誰か助けて!!)
恐怖で地図も辿れず、縦横無尽に歩き回っていると、あたりが暗いせいで道がとうとう分からなくなってしまった。