第2章 虹色
商売繫盛祈願の儀式を終えて、会場は、老舗旅館の宴会室。
今日全ての演目が終わり、実田様のご依頼で役員全員に酌を頼まれ、舞巫女の装いのまま、漆器の盃に酒を注いだ。
役員の方々が、瞳を輝かせてわたしを見てくださる様は少しだけ優越感を与えて下る。
神様とかそんな感じの分類になれた感じがするから。
社交辞令の笑顔をたたえて、適当に話を合わせる。
先ほどから痛い視線を感じるのは、実田様の横にいらっしゃる秘書らしい方。
わたしの上から下までじっとりと纏わりつくように見ていることに気づいて鳥肌が立った。
だからといって手出しをしてくる様子もなくこちらにずっと視線を送っているよう。
内心気味の悪さを感じているものの、何もしてこないということと実田様の御仕事を支えている大事な方で、今はおもてなしすべきお客様。
それに、この宴会が終わればもうしばらく会うことはないのだからと自分に言い聞かせことを大きくしないよう努めた。