第2章 虹色
正月三箇日を終え、今夜がある大企業の仕事始めの商売繫盛祈願祭だというので、その席とその後の宴会で舞を踊ることになってその神社へ出向いた。
いつもの様に舞巫女の服装で粧し込んで、神主様と神宮の巫女さんたちと最敬礼で出迎える。
一番最初に現れたのが、今日の参拝客の会社の頭取。実田様。
黒髪でピシッとヘアセットして、いつもハツラツとした中年男性。
「菖蒲ちゃん、明けましておめでとう。
今年もよろしく頼むよ。
君意外に、うちの会社の商売繁盛祈願で踊って欲しくないからね。
いやー、今日もすこぶる美しい!!」
「実田様、いつも御贔屓に有難うございます。
今年も喜んで貴社のご祈願祭の舞巫女の役、務めさせていただきます。」
そういって挨拶を交わした。
実田様はニコニコと笑顔で手を振って席へと向かわれた。
他の役員の方も愛想よく会釈しては次々にそれぞれの席へと着座し、
祭祀が前に立ち、巫女が並ぶ横に移動した。