第1章 同期
漏れ聞こえる二人の話し声に耳を澄ませながら、挨拶すべきかな…と布団の中で悩んでいると、足音が部屋へと近付いてきた。
「夜月、起きてるか?入っていいか?」
竹内の声がした。
「どうぞ」
琴音がそう答えると、松葉杖をついた竹内と、やたら顔のいい少年が現れた。二人は彼女の布団の側に座り、琴音も身体を起こす。
「夜月、こいつが、」
「冨岡さんですよね」
「え?会ったことあった?」
「ないけど」
無表情で琴音の前に座る義勇。
その姿は彫刻のように美しい。男子であるのに、自分なんかよりよほど美しいのではないかと思ってしまう。
ここに、琴音と義勇が初めて出会った。
―――――二人の運命が回り始める……