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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第8章 安心感


「家族を失った後、お前はどうやって生きてきたんだ」
「遠くに住んでた、おじいちゃんのところに行ったよ」
「じいさんは生きていたのか」
「うん。私のおじいちゃん、異国人なの」
「え……」
「だからね、おじいちゃんのこと嫌う人多くて、一緒に暮らしてなかったの」
「そうか。だからお前の髪」
「うん。おじいちゃんの血が私にだけちょっと出たみたい。お母さんとお兄ちゃんは真っ黒な髪なんだけど」

肌の白さといい、栗色の髪といい、今まで気付かなかったけれど確かに異国の血が混じっていてもおかしくない。

「異国はね、日本よりいろいろ進んでて、おじいちゃんいろんな本持ってたの。薬の本とかね。綺麗なお姫様の絵本もあったなぁ」

琴音が懐かしそうに笑う。しかしすぐにその顔が曇った。

「でもね、異国人だからって虐められて、恐れられて、殺されちゃった」
「………酷いな」
「皆、見知らぬ物は怖いんだよね。おじいちゃん、いい人だったのに。日本語があんまり上手じゃなかったから、言いたいこと伝わらなかったのかもしれないね」

義勇は彼女にかける言葉が見つからない。
彼女の心中を思うといたたまれなくなった。そんな雰囲気を感じ取った琴音は、慌てて義勇の方を見る。

「あ、ごめんね、冨岡!こんな暗い話聞かされても困っちゃうよね」
「いや」
「その後、おじいちゃんの数少ないお友達だった先生が私を迎えに来てくれて、ちゃんと愛情持って面倒見てもらったから大丈夫だよ。苦あれば楽あり!鬼殺隊で沢山仲間も出来たしね!冨岡もいるし、もう一人ぼっちじゃないもん」

そう言って琴音は笑ってみせる。
そんな彼女を見て、義勇は感情が振り切れた。彼女の背中に手を回し、己の胸へとぐっと抱き寄せた。

「っ!!冨岡……?」
「辛かったな」
「え……、まあ、……うん」

義勇は、こんな行動に出るつもりなどなかった。しかし身体が衝動的に動いてしまった。
腕の中で琴音が驚いて戸惑っているのがわかる。

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