第7章 杏寿郎の本気
翌朝、いつも通りに接してくる杏寿郎。
「どんな顔をして会えば……」などど、やや緊張していた琴音は少し拍子抜けした。
しかし、ふとすれ違うときに「今日も可愛いな」と言われたので思わず息を飲む。今までそんなこと言ってこなかったのに。
驚いて顔を上げると、そこには爽やかな笑顔の杏寿郎。年上の余裕を見せ付けられて、琴音はなんだか少し悔しくなった。
そんなこんなでそれぞれが支度をし、杏寿郎、甘露寺、琴音は仕事へ向かう。
ここから先は命のやり取りが行われる死地だ。ひとまず色恋は横に置いておく。
「琴音!甘露寺!死ぬなよ!」
「うんっ!」
「はいっ!」
三人は別れて歩いていった。