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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第7章 杏寿郎の本気


彼女が居なくなると、杏寿郎は部屋で一人、口元を抑えて長く息を吐いた。
頬を赤く染め、目は泳ぎ、彼らしくない様子だ。


……危なかった

危うく接吻をしてしまうところだった
あの顔はまずい
果てしなくまずい
よく止まれたものだと我ながら思う……


杏寿郎とて年頃の男子だ。
柱候補として今まで精神面もしっかり鍛えてきたが、まだ危うい面もある。
早急なことはするまいと思っていたのに、ついぐらついてしまった。

「ふがいなし」

布団を敷きながら小さな声で呟いた。


反省しつつも、きちんと想いを伝えられたことは嬉しく思った。少なくとも義勇よりは彼女に踏み込めたと自負できる。

義勇の気持もわからない上に、琴音の彼に対する気持ちもはっきりしていない。
しかしながら、彼女が常に結紐をつけているのは事実で。彼女を見るといつもそれが目に入るわけで。
それに対して、何も思わないなんてことはないわけで……

「次は俺が買うぞ、冨岡。櫛と共にな」

布団の中で杏寿郎はそう呟いた。


一方その頃、杏寿郎の部屋を後にした琴音は風呂に入っており、ぶくぶくと湯に沈みそうになっていた。

………なんかいろんなことが起きすぎて、ついていけないんですけど……!ちょっと待って!ちょっと待ってよ!!ひええぇぇぇ……

顔が赤いのは、暖かいお湯のせいではない。
のぼせそうになったので慌ててあがる。
甘露寺が寝ている自室へ戻り、彼女の隣に布団を敷いた。

「蜜璃ちゃぁーん……」

相談しようにも、彼女は夢の中だ。
恋愛事が大好物の甘露寺は、きっと琴音より余程色恋をわかっているだろう。
しかし、内容が内容だけに、相談してもいいものか迷う。甘露寺と杏寿郎は関係性が近すぎる。自分が甘露寺に甘えることで杏寿郎に迷惑がかかってはならない。
もう少し客観的に見てくれるような……そして冷静な助言をくれそうなのは………

「しのぶちゃんに、相談してみようかな」

琴音は、ぼそっと呟いた。


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