第1章 同期
こうして鬼殺隊士たちと交流することは初めてだったが、元来人懐っこい性格の琴音は気さくな彼らとすぐに打ち解けた。琴音が知らない隊のことなども教えてもらい、それぞれの階級なんかも聞いて笑い合う。
「そうか、お前、同期居ないんだな」
「はい」
「独りぼっちか。そりゃ寂しいな」
「……はい。でもこればかりは仕方ないです。皆さんが羨ましいです」
「そんなら、俺らが同期になってやるよ!なぁ?」
「え?」
「そうだな!俺らいっぱいいるからよ、一人くらい増えたところで変わんねえって、あはは!」
「確かにな。今日からお前も俺らの同期だー!!」
「い、いいんでしょうか?」
「いいの、いいの!あ、こら!同期なんだから敬語はもう無し!」
「はい。いや、……うん!」
「へへへ、よろしくな夜月!」
こうして琴音は彼らの同期扱いとなった。
「皆の同期は、これで全員なの?」
「いや、まだいるよ」
「へえ、沢山いるんだね」
「ああ。まあ、この二年で何人か減ったけどな」
「…………そっか」
「まあ、俺らの同期の中で一等強いのは……あいつ、だよな」
「あいつ?」
「ここにはいない奴だよ。あんまり人とつるむのが好きじゃない奴なんだ。でも、とんでもなく強い」
「へえ、なんていう人なの?呼吸は何?」
「―――冨岡義勇。水の呼吸の使い手だよ」
村田から義勇の名を初めて聞く琴音。
口の中で「とみおか…ぎゆう…」と呟いた。
何故か心がざわついたが、このときはまだ“ふうん”と思うだけだった。