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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第6章 薬師


「もう一体の鬼……気配がなくなったから誰かが倒したかも。怪我人がいるかもしれないから見てくるね!」

琴音は竹内にそう言うと走り出す。

「ちょ、ちょっと待て!これ!」

竹内が慌てて袋を指差した。

「あ」
「これないとお前困るだろ」
「ごめん」

袋を受け取りに来て、負傷した隊士の容態を見る。

「やっぱり血鬼術で血が止まらなくされてる。んー……、これも上から塗ってあげて」
「わかった」

「聞こえるー?今ねー、手当してるから!絶対助かるからね!諦めちゃ駄目だよー!!」

竹内に薬を追加で一つ渡して、朦朧としている負傷兵に呼びかける琴音。治療されている男の目から、一筋の涙がこぼれた。

竹内に「ここは任せたよ」と一声かけて走り去る琴音。


「……なんだか、随分と遠い存在になっちまったな」


腕を失った隊士の止血をしながら、竹内は呟いた。それでも、目の前のことをちゃんとやらなきゃ、と治療をしていく。


もう一体の鬼は数人の隊士達で倒せたらしく、その姿はなかった。しかし、やはり隊士たちは負傷しており、琴音は彼等の手当をしていく。

「大丈夫だよ」
「よく頑張ったね」

労いと励ましの言葉をかけながら、急いで治療をしていく。
絶妙な配分で配合された自作の薬を惜しみなく使う。そして彼女はまたこれらの薬を徹夜で作って補充をするのだ。


……誰も死なせたくない

彼女の頭にあるのはそれだけ。


隠が来るまで応急処置をして皆の命をつなぎ、指示を出しながら山を下りる。
蝶屋敷に連れていき、しのぶたちと協力して治療にあたった。

一段落した時、こそっと竹内にだけ「疲れたよぉ……」と弱音を吐き出す。
竹内は労うように彼女の肩をぽんと叩いた。


負傷隊士たちの治療が終わると琴音は短めに風呂に入り、しのぶの研究室へと入っていった。


既に夜が明けており、外の世界は新たな一日を迎えていた。


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