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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第6章 薬師


負傷兵を残してこの場を離れるのは心苦しいが、まだ戦っている音がする。
震えが落ち着いた隊士に微笑みかけると、琴音はまた夜の闇を走り出した。

鴉によると鬼はこの山に三体いる。分散して戦うことを余儀なくされた隊士たちは苦戦していた。

状況を見つつ、駆けていく。
音の先にいたのは地面に転がる数名の隊士と、立って交戦している見知った隊士。

「竹内っ!」
「夜月っ!」

琴音は竹内の隣に滑り込み、鬼の攻撃を弾いた。

「竹内、状況!」
「異能だ!攻撃を食らうと血が止まらなくなる!速い!放出系の攻撃だ!」
「溶血、分解、鬼血止め……か」
「来るぞ!」

鬼が体から光線のような物を放出してきた。
二人はそれを跳んで躱す。

「わかった!」

琴音は腰の布袋を外して竹内に投げた。

「戦闘代わる!竹内は隊士の治療!橙の缶の薬を塗って!」
「夜月!お前、」
「私は甲!大丈夫!早く!薬全部使っていいから多めに塗って!!急いで!」

そう叫ぶと琴音は鬼に斬りかかっていく。
竹内は琴音を気にしつつ、怪我人の元へ走っていった。

「剣士交代!私が相手だよ!」
「二人で戦えばいいものを……、馬鹿かお前」
「そんなの私の勝手でしょ」
「お前、強いな。熟練者か。他の奴らと違う。お前を食えば俺は十二鬼月になれるかもしれない」
「あっそう。なら頑張れ」

ガキィン……と音をさせて、琴音の刀と鬼の棍が合わさる。鬼がブンと棍を振ると、体重の軽い琴音は吹っ飛ばされた。しかしそれがわかっていた琴音はその勢いを利用して、飛ばされた先にあった木を蹴り鬼に向けて技を放つ。

炎を纏って戦う琴音。
敵もかなり強い。それでも負けられない。敵の攻撃を躱しながら技を繰り出し続けた。

「弐ノ型、昇り炎天」

琴音が鬼の懐に飛び込み、首を切断する。鬼が悔しさを叫びながら崩れていき、琴音はカチンと音を立てて納刀した。

………強い

隊士の治療をしながら彼女の戦いを見ていた竹内が息を飲む。久々に彼女の戦いを見たが、前に共闘したときより格段に腕をあげている。


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