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言の葉の裏【鬼滅の刃】冨岡義勇

第39章 未来へ繋ぐ


「異国人……いや、外国人相手の仕事となると、洋装の方がいいだろう」
「そうね」
「仕事着の洋服は俺が買ってやる。簪も買うと前に約束した」
「キラキラしたやつね。覚えててくれたんだ」
「もちろんだ。今度見に行くぞ」
「うんっ!あんみつも食べたい」
「ああ」

頬を染めて嬉しそうに笑う琴音。
義勇も目を細めて微笑む。

「西洋風の結婚式、だったか?前に言っていたな。それもやりたいのならやってもいい。ドレス、着たいか」
「いや、私には似合わないよ」
「よくわからないが、そんなことはないだろう」
「義勇さんのタキシードは素敵だろうけど」
「たきしーど……? 礼服のことか」
「そう。洋装の白い礼服」
「お前がやりたいなら、俺は付き合う」

「…………西洋の結婚式はね」
「?」
「新郎新婦がみんなの前で愛を誓って、口付けするんだよ?」
「――っ?!」
「いいの?やる?」
「………………」

黙ってしまった義勇に、くすくすと笑う琴音。

「私は和装で十分よ。質素なものでいいの。二人でひっそりと挙げよう」

どう考えても義勇には無理だろう。
もし琴音が強く望めば義勇はやってくれるだろうが、彼女とてそんな勇気はない。
祝言は従来どおりの日本式でいくことにした。




なんとなくの未来が見えてきた。
二人の新しい生活が始まるのだ。



痣者である二人が、こんなにも未来を明るく考えられているのは何故だろう。

きっと、独りじゃないからだとお互いに思う。

独りだったら、寂しさや辛さに押しつぶされていたかもしれない。
人間はそれほど強くないから。
それを二人とも痛いほどにわかっている。



今、こうして愛する人と共に居られること。
それだけで大金星の大奇跡だ。



向かい合わせで火鉢にあたっていた義勇が、琴音の隣に来た。

「ん?どうしたの?」
「くっつきたいだけだ」

義勇は猫のように琴音に身を寄せた。


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